米国インフレ圧力の高まり、当面はドルの支援材料とならない見通し

米国インフレ圧力の高まり、当面はドルの支援材料とならない見通し

2008年04月17日(Thu)
米国インフレ圧力の高まり、当面はドルの支援材料とならない見通し
米国経済のインフレ圧力の高まりは、通常ならドル相場を支援するが、リセッション(景気後退)懸念が市場を圧迫する中、投資家はドル支援要因とは受け止めない見通しだ。

 かつてインフレ高進は、海外の投資家にとっては特に、米連邦準備理事会(FRB)に物価鎮静のための利上げを迫り、結果としてドルの魅力が高まることを意味していた。

 しかし現在のようにリセッション懸念が強い状況の中では、米景気てこ入れのため、金利をせっせと引き下げるしかFRBにはほとんど手立てが残されていない。

 大方のアナリストは、FRBの利下げ戦略に変更はないとみている。このため低利回り通貨となったドルから高リターンが望める通貨への乗り換えが進み、ドルにはさらに下げ圧力がかかるとみられている。

 一部のストラテジストは、とりわけユーロ圏でインフレ率が急上昇していることから、第4・四半期が始まるまでユーロに対してドルをショートにするよう推奨している。

 CIBCワールド・マーケッツ(トロント)の上級エコノミスト、アベリー・シェンフェルド氏は「リセッション克服の方が大きな課題なので、インフレは今年のテーマとはならない」と述べ、「今後数四半期、FRBはリセッション克服に注力する中で、インフレ率が心地良いレンジを上回って推移することに耐えねばならない可能性がある」と指摘した。

 米経済の低迷と金融セクターの問題が深刻化する中、FRBは4月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現在の2.25%から引き下げると広く予想されている。FRBは昨年9月からこれまでに既に3%ポイントの利下げを実施している。

  

 米財政赤字や貿易赤字の拡大に伴い、ドルは2002年以降、ユーロや他の通貨に対して徐々に価値を切り下げてきた。加えて昨年夏からの長引く信用収縮とFRBの矢継ぎ早の利下げによって、ドルは驚くべき水準に押し下げられた。

 ドルが下落する一方で、インフレ懸念も強まっている。米労働省が15日発表した3月の卸売物価指数(PPI)の総合指数はエネルギーコストの急上昇を背景に大幅上昇した。16日発表の3月の消費者物価指数(CPI)の総合指数は前月の横ばいから0.3%上昇に加速した。

 インフレ率上昇はある程度ドル安で説明できる。ドル安で世界的に原油や金、銅やプラチナなどの商品の人気に拍車がかかり、16日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の米原油先物相場は1バレル=115ドル近くで取引を終了、最高値を更新した。 

 <FRBの火遊びか> 

 RBSグリニッチ・キャピタルの首席国際ストラテジスト、アラン・ラスキン氏は「現在のインフレ圧力がインフレ期待に深く根付き、最終的にわれわれが刺激しようとしている成長を損なったら、という点で、火遊びの一種だと言うことができる」と指摘。ただ、「FRBは現在、ドルが軟化すれば、インフレに上振れ圧力がかかるが、成長にとってはある種プラスだとの見解をとっている」と付け加えた。

 一方、ユーロ圏の物価圧力抑制に重点を置き続けている欧州中央銀行(ECB)がインフレに関して満足することはないだろう。

 エネルギーおよび食品価格の急騰を背景に、ユーロ圏の3月の欧州連合(EU)基準消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比ベースで過去最高の3.6%となった。エネルギーと生鮮食品を除いたコア指数も前年比2.7%上昇。同統計発表を受けて16日の外為市場ではユーロが対ドルで最高値を更新した。

 インフレ率が上昇する中、ECBは政策金利を4%に据え置いている。アナリストはECBが今後数カ月、少なくとも第4・四半期が始まるまでは金利を据え置くと予想しており、ユーロのさらなる支援要因となる見込みだ。

 カリヨン(ロンドン)の上級通貨ストラテジスト、ダラハ・マーハー氏は「対ドルで1.50ドルを超える水準へのユーロの急伸後に一服したが、短期間で1.60ドルの節目を突破する可能性も残っている。われわれはユーロの反転を口に出すのは尚早と考えている。米経済に関する悲観的なニュースは今後も続く可能性が高い一方、ECBは、ユーロに関する当面の下押し要因を排除するタカ派的スタンスを引き続き採用するだろう」と語った。



   




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カレンダ
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